自筆証書遺言は、遺言者本人が、遺言の全文はもちろん、日付及び氏名を自書し、これ
に押印することで作成できる遺言です。
自分で書けばよいので、いつでも簡単に作成でき、費用も殆どかからないと云う利点が
あります。

しかし、内容が簡単な場合はともかく、そうでない場合は、法律的に不備な内容になっ
てしまう危険があり、せっかく作った遺言が遺言執行時に無効になる場合もあります。
しかも、遺言の誤りを訂正する場合には、訂正の方式が法律(民法)で定められてお
り、訂正の仕方によっては方式不備で遺言が無効になってしまう危険もあります。

また、遺言書を発見した者が、自分に不利な内容が書いてあると思ったときに、破棄し
たり、改ざんや隠匿をしてしまう危険がないとはいえません。

自筆証書遺言は、その遺言書を発見した者が、必ず、家庭裁判所にこの遺言書を持参し
て、相続人全員に呼出状を送った上、その遺言書を検認するための検認手続を経なけれ
ばなりません。

自筆証書遺言は、全文を自書しなければならないため、遺言者が自書することが出来な
い状況にある場合(病気などで)には、利用することができません。
それを補う遺言方式として、公正証書遺言があります。

なお、次のような方法で作成した遺言書は自筆証書遺言とは認められず、無効になりま
す。

  ● パソコン等で作成した遺言書
  ● 遺言者が口述した内容を、他人が筆記した遺言書
  ● 遺言者の口述した内容を、録音テープに記録したもの
  ● 遺言者の口述した内容を、ビデオテープやDVDに映像記録したもの


 【自書証書遺言作成要件のまとめ】

  ① 全文を自書する
  ② 日付を自書する
  ③ 氏名を自書する
  ④ 押印する

  ○  日付は、年月日を正確に自書する必要があります。
     例えば「平成21年4月吉日」等と書いた場合、無効になります。

  ○  押印する印鑑は特に指定が無く、認印でも問題ありませんが、実印があるの
     なら実印を押印すべきです。

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