契約書作成に関する基礎的な事柄について説明します。

     
        ■ 「署名」と「記名」の違いについて 

        ■ 契印、割印、捨印の押し方とその効果について

        ■ 実印と認印について

        ■ 契約の当事者について

契約書や覚書、協定書、領収証等には、通常、署名(又は記名)し、押印(捺印)を
することが決りとなっています。
これは、当事者が確かに約束した証という意味で、契約書など一定の文書に署名(又
は記名)し、押印(捺印)することで法律的に有効な文書となり、当事者の真意によ
るものであることを担保することができます。

このように、契約書など法律上意味をもつ文書を作成する際の署名や記名は、法律的
にどのような意味をもっているのか説明します。

「署名」とは、自分の氏名を自ら手書きで書ことです。
つまり、自書(サイン)のことです。

これに対して「記名」とは署名以外の方法で自分の氏名を書ことをいいます。
例えば、次のような方法です。

 ・氏名を彫ったゴム印を押す
 ・ワープロやタイプで氏名を打つ
 ・他人に氏名を代書してもらう

署名と記名を法律上区別するのには、次のような理由があります。

  署名の場合、印鑑を押す必要がない。(捺印不要)

  記名の場合、必ず印鑑を押さなければならない。
 

法律上は、「署名若しくは記名捺印」が建てまえとなっています。

法律が要求する第一原則は「署名」であり、第二原則が「署名に代わるべき記名捺印
という順序になります。

このように、法律では、印鑑を押す必要があるのは記名の場合で、署名の場合は、印
鑑を押す必要がありません。

しかし、これは法律上の建てまえであって、日本では、署名があれば印鑑を押す必要
がないかというと、必ずしもそうではない慣習があります。

日本は、昔から法律上意味のある文書には印鑑を押すという伝統があり、外国人との
契約は別として、現在でもサインより印鑑に多くの比重がおかれています。

つまり、印鑑を押すことによって、当事者が「確かに約束しました」という確定的、
終局的な意思表示がなされて、ようやく文書が完成するという慣習があります。

また、裁判において、契約書などの文書が証拠として採用されるには、文書に書かれ
ている署名が有効か無効かという形式的な判断だけでは不十分で、その文書が本人の
真意で作成されたものか、最終的な意思表示と認められるかなど、実質的な判断、審
理がなされて、はじめて証拠として採用されます。

従って、文書に印鑑を押す日本古来の伝統と、これを現在も重視する慣習を考えた場
合、細心の用意で、署名に加え印鑑を押させるのが最も安全な方法であると考えます。

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1.契印

 契印とは、契約書等の文書が2枚以上の書面にわたる場合に、その文書が一連一体
 の文書であることを確認、証明するために、文書のつづり目または継ぎ目にかけて
   印を押すことをいい、またその印影をいいます。

 《契印の押し方》

 ① 契約書等の文書がホッチキス止めの場合は、全ページにわたり両ページの境目
   (折り込み)の部分をまたぐように押印します。

 ② 契約書等の文書が袋とじされている場合は、文書の表面か裏面どちらか一方の
     帯と表紙の間に押印します。
   (表面、裏面の両方に押す必要はありません。)

 ③ 契印は、署名または記名、捺印に使用したのと同じ印で押印します。

 ④ 契印は、双方の当事者が複数の場合、全員が押印する必要がありません。
   一方の当事者一人が自分の側を代表して契印すればよいことになっています。

 《効 果》

 契印することにとって、その文書が一連一体の文書であることを証明し、勝手に差
 し 替えたり、抜き取られることを防止します。


2.割印

 契約書等の独立した文書が複数あって、(例えば、契約書を2通以上作成したとき
  など)各文書が相互に関連する場合に、各文書にまたがって印を押すことをいい、
  またその印影をいいます。
  一つの文書内の関連を証明する契印とは異なります。 

 《割印の押し方》

 ① 独立した各文書を、少しずらした形で重ね合わせ、各文書の重ね合わせた部分
   をまたぐように押印します。

 ② 割印は、署名または記名、捺印に使用したのと同じ印で押印します。

 《効  果》 

 複数の独立した文書の関連性を証明することができます。


3.捨印

 予め、訂正箇所の生じることを予定して、文書の欄外に押しておく印を捨印といい
 ます。
 つまり、事前に訂正印を押しておくことになります。

 捨印を押す段階では、どこを訂正するか分かっていませんので、後日文書の内容を
 どのように訂正されても文句を言えなくなってしまいます。
 直ちに追加・訂正できる便利さもありますが、反面非常に危険です。
 よほどの信頼関係がない限り、捨印は押さないことです。
 特に、契約書には、絶対押してはいけません。


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契約書等の押印に使用される印には、実印と認印(実印以外の印)があります。

実印は、印鑑登録をすることによって、印鑑証明書の交付が受けられる印です。
印鑑登録は、個人が所有する実印と法人の実印では登録申請する先が異なります。

   個人の場合は、居住地の市区町村長に登録申請します。
    実印の登録は、1人1個に限られます。

   法人の場合は、法人登記がされている法務局に代表者印として登録申請し
    ま
す。

認印は、個人が所有する印で、実印以外はだいたい認印と呼ばれる印です。

重要な契約書等には、当事者の署名に加えて実印を押印し、印鑑証明書を添付する
方法がよくとられます。

その他、公正証書を作成するとき、不動産登記申請をするとき、会社設立の定款認
証を申請するときなどでも、実印の押印と印鑑証明書の添付が必要になります。

これは、印鑑の偽造や盗印を避け、押印した当事者が本人であることを確認し、
かつ、それらの書類が当事者本人の真意に基づいて作成したものであること証明す
るためです。

一般的に、実印を押すときは慎重なり、認印は安易に取り扱う傾向にありますが、
契約書等に押す印が実印でも認印でも、その法的効果につては優劣はありません。

ただし、認印は、相手が自分が押した印でないとか、自分の印でないと主張されて
場合に、相手当事者の印であることを立証するのが難しということがあります。

やはり、重要な契約では、安全を考えて契約書には署名に加えて実印を押印して、
印鑑証明書を添付する方法がベストであると考えます。


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《誰と誰の契約か》

契約書作成で最も重要なことは、契約の当事者は誰であるか、そして、その当事者が
契約締結の権限者
であるかということです。

契約の当事者とは、契約によて義務を負ったり、権利を取得したり、あるいはその他、
法律的に効果のあることを約束する人のことです。

契約書を作成する目的は、契約の当事者間における約束、すなわち義務(債務)や権
利(債権)を相互に確認し、それを実行(履行)させるために、後日の証拠として使
用できるようにすることです。

従って、契約書を取り交わす相手が、契約内容を実行(履行)できる権限者でなけれ
ば、契約書を作成した意味がありません。


《契約当事者の誤りの原因》

契約当事者の誤りで多いのは、本人と代理人の混同、個人と法人の誤り、本人と仲介
人の取り違えなどがあります。
これらの誤りには、主に次のような原因があります。

  軽率が原因の誤解により、当事者を取り違えてしまう

  相手方の詐欺的な意図に基づくごまかしに対して、軽率に信用してしまう

正しい契約当事者を確認して、正確に契約書に表示し、署名・押印又は記名・押印し
てもらうことが絶対に必要です。


《契約当事者の確認方法》

何度も契約の実績があり、お互いに信頼関係が出来ていれば別ですが、初めて契約す
る相手の場合、契約当事者の同一性(契約当事者を名乗っている者が、本当に本人が
どうか)を確認することはなかなか難しいものです。

1.当事者が個人の場合の確認方法

 個人の場合は、印鑑証明書と実印の所有者であることを確認することで、契約当事
 者本人であると推測できます。
 重要な契約書には、契約当事者の署名、実印を押印させ、印鑑証明書を添付させる
 必要があります。

 更に、不動産売買契約等の場合は、登記識別情報または不動産登記済証の所持を確
   認することで、不動産の所有者本人であると推測できます。

 また、印鑑証明書から住民登録されている住所が分かりますので、状況によっては、
 本当にその住所に住んでいるかなど、実際に足を運んで確認する必要があります。
 
2.契約当事者が法人の場合の確認方法

 営利法人の会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)は、管轄の法務局で
 「登記簿」を閲覧するか、会社の「登記事項証明書」を取ることによって、本店の
 所在地、資本の額、取締役・監査役の氏名、代表取締役の氏名、住所、共同代表の
 定めの有無などを確認することができます。

 また、非営利法人の一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人、
 や特定非営利活動法人(NPO法人)、学校法人、医療法人(病院等)、宗教法人
 (寺院、神社、教会等)、協同組合等も法務局に登記がされているので「登記簿」
 を閲覧」
するか「登記事項証明書」を取得することによって、法人の重要事項を確
 認することができます。

 
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