契約書の作成に関連したお役立ち情報です。

    お役にたてれば幸いです。
 

     ■ 契約書の訂正方法について 

     ■ 契約の際に書面の作成が法律で義務付けられているもの

     ■ 市販の契約書式を利用するときの利点と欠点

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1.契約書の訂正について 

契約書を作るには、不動文字で印刷された市販の契約書を使用する場合もあります
が、最近は、パソコンのワープロソフト等を使用して契約書を作るのが一般的です。

作成した契約書に誤字や脱字等の間違えが見つかった場合、パソコンに入っている
データを修正して簡単に契約書を作り直すことができます。

そのため、誤字、脱字などの間違えを手書きで訂正することが少なくなったことで、
手書きの訂正方法を十分理解されていない方が増えているように感じます。

契約交渉の早い段階や、訂正箇所が多い場合は、契約当事者双方が合意の上で契約
書を作り直した方が、むしろスッキリします。

しかし、契約交渉の終盤や、契約当事者が契約書に署名・押印後に間違えが見つか
ったときなど、手書きで訂正する方法で対処しなければならない場合もあります。
そのために、手書きの訂正方法を正しく理解しておく必要があります。

何れにしても、契約書作成に当たっては、訂正以前の問題として、間違えのない契約
書を作ることが大原則です。


2.契約書の訂正方法

契約書の訂正方法は、業界等によって多少の違いは有るようですが、訂正前の内容
が分かるように訂正し、かつ、その訂正を契約当事者が互いに承認した証として、契
約書に署名・押印(又は記名・押印)したのと同じ印鑑を使用して訂正の押印をしま
す。
つまり、改ざんでないことを証するための基本は変わりません。

ここでは、一般的に行われている契約書の手書きによる訂正方法を紹介します。

《訂正の手順》

 ① 訂正または削除する文字・数字の部分を二重線で消します。

     (書類修正用の文房具として販売されている修正液や修正テープ等で消す のは
    間違えです。修正前の内容が何であったか分からなくなるからです。)
     
 ② 二重線で消したその上部に、正しい文字・数字を書き加えます。
      文字の加入のみの場合は、加入する位置に波カッコを使って書き加えます。
       
 ③ 訂正部分の近くの欄外、若しくはページ上段欄外に、訂正した行、削除した字数
        と書き加えた字数を「○行目、△字削除、□字加入」
のように記載します。
       
(注1、注2)

 ④ ③で欄外に記載した削除、加入の字数の横か下に、契約当事者が署名・ 押印
   
(又は記名・押印)で使用した印鑑と同じもので訂正印を押印します。
 
 ⑤ ①〜④の処理を、契約書の作成部数の全てに対して行います。


 注1以前は、「○行目、△字削除、□字加入」の記載に、改ざんを防ぐために多角
           漢数字を使用し、例えば「伍行目、弐字削除、参字加入」のように表示して
           いましたが、最近は算用数字「5行目、2字削除、3字加入」のように表
           示しても問題ありません。
    なお、漢数字を使用する場合は、(一、二、三)は改ざんが容易にできるた
           め、使用しません。

 注2:訂正する部分が同じページで一箇所の場合は、行を指定をする必要はありま
    せん。

 《訂正例その1》

keiyak001

  

 《訂正例その2》

keiyak002

   本文の訂正箇所にも訂正印を押す方法がありますが、その場合他行の本文
     に訂正印がかかって読みにくくなることがあります。
     文字の削除数、加入数の記載に訂正印が押されていれば、訂正箇所に押さ
     なくても問題ありません。 


 3.契約書訂正のタイミング

ここでは、契約書をパソコンのワープロソフトで作ることを前提に、説明をさせていた
だきます。

《契約交渉の初期段階》

まず、作成した契約書を何度も見直し、誤字、脱字、文言等に不適切な部分はない
か、十分にチェックします。
更に、正式な契約締結の前に、契約当事者間で、契約書案を基に契約内容につい
て相違ないか、確認を行います。
この時点で間違えや修正箇所が見つかれば、ワープロのデータを修正して正式な
契約書に作り上げることができます。


《契約当事者の署名・押印直前に間違えが見つかった場合》

署名・押印(又は記名・押印)の直前で間違えが見つかることもあります。
その間違えが誤字、脱字などのごく少ない内容の場合は、契約書の作り直しはしない
で、「手書きで訂正し、訂正印で処理」すべきです。

その理由として、一旦読み合わせをして確認した契約書と、作り直した契約書の整合
性が保証されなくなるからです。
見つかった誤字、脱字以外の部分が書き換えられたりしたら問題です。
最も、作り直した後で再度、読み合わせ等の確認をするのなら別ですが。

但し、誤字や脱字程度の間違えではなく、例えば、契約金額や支払い条件のような重
要な部分に間違いが見つかった場合は、(この段階でこのような間違えが見つかるこ
と自体、問題なのですが)どんなに時間がかかろうとも契約書は作り直すべきです。
当然、作り直した契約書は、間違えを修正した部分以外に改変がないか、十分にチェ
ックする必要があります。


《契約当事者の署名・押印後に間違えが見つかった場合》

どんなに注意してチェックしたつもりでも、人間のすることには間違いはあります。
署名・押印(又は記名・押印)後に誤字、脱字が見つかることもあります。
この段階での間違えは、云うまでもなく「手書きで訂正し、訂正印で処理」すること
になります。 


契約書に署名・押印(記名・押印)以降に、契約当事者双方の話合いにより、新た
 
に特約条項を追加したり、契約内容を一部変更するようなことになった場合は、契
 約書を直接訂正せずに、そのことについて、別に覚書又は合意書を作成して対処
 するのが一般的な方法です。


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契約は、原則として当事者の合意(一方がが申込み他方がこれを受諾)があれば、
成立します。
必ず契約内容を書面(契約書等)にして、これに署名・押印をしなければ、契約が
成立しないと云うことではありません。

契約締結の方式はあくまで各人の自由で、口頭による契約でも書面による契約で
も、契約としての法律上の効力は何の違いもありません。

しかし、契約方式自由の原則の例外として、次に示す契約は、書面(契約書等)の
作成が契約の成立要件となっているものや、法律で契約の書面化を強く要請して
いるものです。


《書面作成が契約の成立要件となる契約》

  任意後見契約(任意後見契約に関する法律3条)
   任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によらなければなりま
   せん。

 ② 事業用定期借地権設定契約(借地借家法23条3項)
   専ら事業のために使用する建物を所有する目的で、契約の更新や建物の
   買い取りが認められず、契約期間が満了すると確実に土地を明け渡さなけ
   ればならない借地権の設定契約は、公正証書によらなければなりません。

 ③ 定期借地権設定契約(借地借家法22条)
   存続期間を50年以上とする定期借地権を設定する契約は、公正証書によ
   
る等の書面によらなければなりません。

 ④ 更新の無い定期建物賃貸借契約(借地借家法38条1項) 
   期間の定めのある建物を賃貸借する場合、公正証書による等の書面によ
   って契約するときに限り、契約の更新がないこととすることができます。

 ⑤ 取壊し予定の建物の賃貸借契約(借地借家法39条)
   法令又は契約により、一定の期間経過後に取り壊すことが決まっている建
   物を賃貸借する契約で、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借契約が終了
   する旨を定めることができます。
   この契約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によらなければなり
   ません。


《書面作成が法律で義務付けられている契約》

 ① 農地の賃貸借契約(農地法21条)
   農地又は採草放牧地の賃貸借契約については、契約存続期間、借賃等の
   額及び支払条件、その他の契約内容を書面により明らかにしなければなり
   ません。

 ② 建設工事請負契約(建設業法19条)
   建設工事の請負契約の当事者は、契約書等を作成し、工事内容、請負代
   金、着工期等の契約内容を記載しなければなりません。

 ③ 割賦販売法に定める指定商品ついての月賦販売契約(割賦販売法4条)
   割賦販売法に定める指定商品について割賦販売契約結ぶときは、売主から
   買主にたいして、割賦販売価格、商品の引渡時期等を記載した書面を交付
   しなければなりません。

(注)上記①〜③の契約は、書面作成(契約書等の作成)が私法上の契約成立の
   要件にはなっておりません。


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契約の基本要件に必要な条項が予め印刷された、既製の各種契約書式が文房具店等
で販売されており、小企業間の契約や個人間の契約では、この市販の契約書式を利用
することが多いと思います。
主に利用されているのは、建物賃貸借契約書、土地賃貸借契約書、貸室賃貸借契約書、
不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、金銭借用証書などのようです。

市販の契約書式は、契約書として殆ど出来あがっており、契約当事者間で取り決めた必
要事項を記入し、当事者各自が署名、押印(あるいは記名、押印)をすれば、契約書と
して完成しますので、簡単で便利ですが反面、幾つか注意しなければならない点もあり
ます。


《市販の契約書式の利点》 

  利用が簡便である。

  契約要件に必要な、一般的条項が一応盛り込まれている。

  第三者が作成したものであるため、契約当事者にとって一応中立的に見える。
   (実質は、必ずしもそうでない場合もあります。)

  
《市販の契約書式の欠点》

  契約要件に必要な条項が網羅的である反面、何が重要な条項で、何がそれほど
   重要でないかの区別がはっきりしない。

  特約条項などを追加した場合、印刷されている条項と特約とが、相反するなどの
   矛盾が生じることがある。

  一か所を修正すると、全体に影響がでる場合、印刷されている条項の修正が不
   十分になり、契約書全体としての一貫性を失う結果に陥り易い。

  印刷された契約書の内容(各条項)を、契約当事者がよく読まないことによる誤
   解等が生じ易い。


市販の契約書式を利用するときは、その利点と欠点を認識して、効果的に利用すること
が望まれます。


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